自閉症児の人がどんな風に現実を見ているのかを再現した自閉症シュミレーターの映像を見て、映像の数々の技法はこれに近い感覚を観客に与えるために考えら れたのではないかと思った。遠近法が破棄された彼らの視覚は、突然もののある部分がクローズアップで現れたり、近くのものが遠く見えたり、ある色にだけ反 応してその色だけが強調されたりというように、現実の世界が断片化される。遠近法の統御が壊れた彼らにとって目前の世界は無秩序な洪水のように現れる。

アクション繋ぎやクローズアップという映像の技法は、現実を断片化するカメラの機能を再度人間の知覚に受け入れやすくするために作られた技法であるが、カ メラの原理を意識的に考えていた一部の映画監督達は、知覚の秩序を破壊するためにそれらの技法を使用する。『国民の創生』でのリリアン・ギッシュのクロー ズアップが当時の観客を困惑させ、リュミエールの『列車の到着』が観客をパニック状態に陥れたのも、それは観客の知覚の秩序が破壊されたからではないだろ うか。

現実の世界は、自閉症児の見ている世界に近いのかもしれない。関連性が放棄され、断片が浮遊している世界。映像や写真は現実の再現や映画のような知覚の秩 序に奉仕するためにあるのではなく、現実の世界を引き裂き、混沌の世界を召喚するために存在する。


金村 修





" System Crash for Hi-Fi "
" White Rabbit Opium Dream "
" Living Dead Suside "

at RAINROOTS



" Do not resuscitate "

at MUNO


2018.1.27sat-2.25sun