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自閉症児の人がどんな風に現実を見ているのかを再現した自閉症シュミレーターの映像を見て、映像の数々の技法はこれに近い感覚を観客に与えるために考えら れたのではないかと思った。遠近法が破棄された彼らの視覚は、突然もののある部分がクローズアップで現れたり、近くのものが遠く見えたり、ある色にだけ反 応してその色だけが強調されたりというように、現実の世界が断片化される。遠近法の統御が壊れた彼らにとって目前の世界は無秩序な洪水のように現れる。

アクション繋ぎやクローズアップという映像の技法は、現実を断片化するカメラの機能を再度人間の知覚に受け入れやすくするために作られた技法であるが、カ メラの原理を意識的に考えていた一部の映画監督達は、知覚の秩序を破壊するためにそれらの技法を使用する。『国民の創生』でのリリアン・ギッシュのクロー ズアップが当時の観客を困惑させ、リュミエールの『列車の到着』が観客をパニック状態に陥れたのも、それは観客の知覚の秩序が破壊されたからではないだろ うか。

現実の世界は、自閉症児の見ている世界に近いのかもしれない。関連性が放棄され、断片が浮遊している世界。映像や写真は現実の再現や映画のような知覚の秩 序に奉仕するためにあるのではなく、現実の世界を引き裂き、混沌の世界を召喚するために存在する。


金村 修


" System Crash for Hi-Fi "
" White Rabbit Opium Dream "
" Living Dead Suside "

at RAINROOTS

" Do not resuscitate "

at MUNO


2018.1.27sat-2.25sun








Osamu Kanemura
“System Crash for Hi-Fi” “White Rabbit Opium Dream”
“Living Dead Suside” “Do not resuscitate”







System Crash for Hi-Fi” “White Rabbit Opium Dream” “Living Dead Suside”

at RAINROOTS

『RAINROOTS』 での展示は写真で構成されます。
“White Rabbit Opium Dream”は2011年の作品で、バライタ大全紙に端正にプリントされた正統的な金村作品と言えるでしょう。“System Crash for Hi-Fi”は2015年の作品で、期限切れのRCペーパーに薬品を撒き散らして化学反応と経年劣化を同時に画面に配しています。“Living Dead Suside”はカラー・デジタルプリントの未発表作品で、これまで金村は写真の展示としてはカラー・デジタルプリントを使用したことがないので、全く新 しい試みとなります。
これらの異なるプリント群を使って、『RAINROOTS』の複雑な 内部構造を生かしたカオティックな展示が構成されます。



“Do not resuscitate”

at MUNO


ホワイトキューブの『MUNO』では、“Do not resuscitate”という映像インスタレーションが展示されます。未発表映像を含む複数の映像作品を四方の壁面にプロジェクションして、映像で空間 を満たします。



金村修 / Kanemura Osamu

写 真家

1964年東京都生まれ。
1992年、東京綜合写真専門学校在校中にオランダ・ロッテルダム写真ビエンナーレに招聘され、1996年、MOMAによる「世界の注目される6人の写真家」の1人に選出される。 2000年、「トップランナー」(NHK)、2001年、「情熱大陸」(毎日放送)出演。

1997年、日本写真家協会新人賞、第13回東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、2000年、第19回土門拳賞、2014年、第39回伊奈信男賞を受賞。

写真集に『Spider’s Strategy』『Concrete Octopus』ほか、著書に『漸進快楽写真家』『挑発する写真史』がある。